おすすめの本 原田マハ『奇跡の人』
新年度も始まり、新天地で頑張っている方も多いことだと思います。全てが順風満帆にうまく行く事はまずない世の中なので、壁にぶち当たり逆風にさらされることもあるでしょう。
そんな時に手助けをしてくれる1冊を紹介します。
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逆風をも吹き飛ばす、勇気と感動を与えてくれる1冊
時は明治20年、9歳でアメリカに留学し、13年間過ごしたアンは女子教育に尽力したいと志して帰国するが、なかなか想いはかなわない。諦め切れないアンは持ち前の行動力を発揮して伊藤博文に教職を乞う手紙を書く。家庭教師として紹介された生徒は青森津軽地方に住む地元の名士の娘レンだった。東京から青森までアンはひとり汽車と馬車を乗り継いで6日かけて待望の生徒、レンのもとへと向かうのだった。
レンは1歳になるかならないかの時に患った病がもとで三重苦を背負っていた。そのレンに礼儀作法と言葉を教えるのがアンの役割だった。手探りでアンとレンの授業は始まるのだが、言葉を獲得するまでのアンとレンの魂の交感は本書のひとつの読みどころであり、心を打つものがある。
そして、何事も諦めない強い意志を持つアンの姿からは、何事もやれば出来るのではないか?という希望と勇気を感じることが出来る。教育方針を巡ってのレンの両親との対立、使用人達の権謀術数、様々な困難、逆風に対しアンは果敢にも、しかしながら誰も傷つけずに、諦めずに、回りをほぐしていくくだりは痛快さも伴った読み応えがある。