カポーティ読み始めにこの一冊

カポーティといえば『ティファニーで朝食を』ですが、外国文学特有のクセのある文体で読むにはなかなかの努力が必要です。全編理解し、読破するには時間と心の余裕が必要となるでしょう。

その点でまさに「読書」を体現できる作品なのですが、読みかけで投げ出してしまう方も多いはず。それだけで諦めるにはもったいない作家がカポーティです。もっと読みやすくて、カポーティを理解できる作品はないものかと探してみたところ最適のものを見つけました。『カポーティ短篇集』です。

『カポーティ短篇集』 河野一郎訳 筑摩文庫 630円

小作品から旅のエッセーまで12篇を収めています。短篇なので気負わずに電車の中でも気軽に読めます。何よりも、ここにカポーティの魅力が凝縮されて詰まっています。こんな表現方法が有ったのかとその文体にはうならされます。セリフ、空間の描写、色の表現、空の表現、あらゆる描写がリアルを超えた美しいものを想像させてくれます。

そして何よりもかっこいいです。「かっこいい小説とはこういうものだぜ」とコーヒーを飲みながら静かなカフェできざに読むのが似合う小説です。

以上、勝手なインプレッションですが、是非一読ください。